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言葉は乱暴だけど、前の月兎と雰囲気が少し違っていた
少なからず元気が無くて
悔しそうに顔を歪めている
「くそ……っ」
そう悪態を付いて月兎は鞄を持ってクラスを後にする
ついて行く為に俺も立ち上がって鞄を手にした
「あの、僕も…っ」
藤崎はそう声を上げて後に続いた
駆け寄る俺と藤崎に顔をしかめるが、月兎は何も言わずに下駄箱へと向かう
会話も無しに俺達は靴を履き替えて学校を後にした
「えっと……月兎君…?」
藤崎はオドオドしながらも月兎に話かける
不機嫌な顔つきを変える事無く視線を向けた
「傍観者は同罪だ、気安く話掛けるな。」
ストレートな物言いと態度は相手を容易く傷付ける
「あ……ごめん……。」
藤崎のか細い声は聞こえないとばかりに足早に道を進んで行く
人を傷付ける事なんて気にしない
守りたいのは只一人
そう言っている様にしか見えなかった
事実月兎が守りたいのは夜兎だけ…
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