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「辛気臭いな…っ」
俺にはそんな真っ直ぐに周りを省みず守る事なんて出来ない…
そう思ったら、藤崎とは違う意味で顔を歪めて下を向いてしまった
そんな俺達を見た月兎は苛々とした態度を隠さずに振り返って俺達を睨み付ける
「そんな簡単に傷付かないでくれねぇか?夜兎に比べたら…」
そう言って一段と眉間に皺を寄せて舌打ちした
「付いて来るな、不愉快だっ」
吐き捨てた言葉と共に振り返り山岸さんの家に向かって歩いて行った
俺達は足をそれ以上動かす事が出来ずに月兎を見送った
「ねぇ西浦君…」
俺と藤崎は近くに有った公園のベンチに座っていた
ただ何も話さずにどれぐらい居たか解らない時、藤崎が話し掛けて来た
俺は顔を向ける事で返事を返す
「僕は橘君が優しくて、勉強に一生懸命で、西浦君と武葉君の事好きなんだって…知ってる。」
藤崎は赤く染まる空を見上げ
ただ悲しそうに、昔に感じる少し前の事をゆっくりと話し出した
「あの時僕の財布も盗まれて、返りに買いたい物が有って楽しみにしてた時だったから後先考えずに橘君を恨んじゃった…」
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