夢現

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夢現

独特の安らぎを与える珈琲の匂い 優しい日差しが入る室内を オレは腕捲りをした白いワイシャツ、黒い腰巻きエプロンとベストを着てフローリングを歩いていた 「お待たせしました、チーズケーキセットです。」 オレの笑顔は0円じゃないから、無表情で客に頼まれた品を渡す あ、無事に面接は受かったんだ 個人店のカフェだから家庭事情を軽く言えば此処の店長はお人好しだったらしく簡単に採用してくれた 有り難いが心配だな 「あ…あの…」 「はい。」 女性客に話しかけられ戻ろうとした身体を止める だがもじもじして話しをしようとはしない そんな客に軽く眉間に皺を寄せるも待つ 腐っても接客業だからな… でもイライラする女だな…… 「何か不都合が?」 「いえ!!スミマセン!なんでも…ない……です。」 呼んだだけ、てへ☆ だったらぶっ飛ばすぞ女……とも思ったが、ぶっ飛ばせないから頭を下げてカウンターに戻る 「橘君、次これを3番テーブルにお願いします。」 「はい。」  
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