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出された紅茶をトレイに乗せて、覚えたばかりの席順を思い出しながら足を向ける
そう、今日が初日だ
あれからまったくと言って夜兎は出て来る兆しはない…
呼び掛けても反応しない…
正直言うと不安だ……
オレが追い込んだ
オレが苦しめた
オレの存在理由は俺だけなのに……
「お待たせしました、ホットティーです。」
仕事を終えて裏で着替えるていると、店長が話し掛けて来た
「物覚えが早いですね橘君は、初日だけどどうでしたか?」
それはオレが聞く事じゃないか?
とも思ったが、見るからに物腰が柔らかそうな店長は笑顔でオレの返答を待っていた
それに内心ため息を付いて、相変わらずの無表情だが安心させる為の言葉を探して口を開く
「楽しかったですよ、お客様も穏やかな方ばかりでしたし。」
思ってもない事を、らしく連ねて言えば店長は安心した様に肩の力を抜いた
青あざを気にせず着替えを終えて荷物を持つ
「身体は大丈夫ですか?」
「見た目以上に痛くないんで。」
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