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手を休め扉に顔を向けて返事をする
山岸はそれを聞いてノロノロと入って来る
「何?」
ペンを回しながら山岸を見ればまた軽く赤くなる
溜め息を付いてノートに集中する
「あのね?月兎君に…」
「だから何。」
ちょっと苛ついて睨めば後ろから西浦が顔を出す
その姿を見て更に眉間に皺を寄せて不機嫌になる
「山岸さんが、や…月兎にプレゼントが有るんだとさ。」
夜兎と言いかけて言い直した西浦に苛立ちながらも目線を山岸に向ける
「あのね?……えっと…これを……」
おずおずと出された箱
その隣にいた西浦も笑顔で紙袋を出した
「何?いきなり。」
怪訝な顔でそれをガン見するが、オレは手を出さない
夜兎が物で何度も怪我をしていた今までの事を考えると、身体が自然と抵抗を示したからだ
相手は山岸だから無いと解っていても、認識と信用は違う
「お祝い…初バイトでしょ?だから…」
でも出て来た言葉にオレは目を見開いた
「…祝い…?」
祝いなんてされた事はない
みんなが祝いをされるだろう誕生日も、クリスマスも、正月も
祝った事も祝い合った事も…
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