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そんな時、西浦の言葉を聞いた今まで何も反応が無かった夜兎が
トクリと鼓動を胸を鳴らした
どうして…
そんなに嬉しいのかよ……っ
オレよりこいつを望むのかよっ!
何度も呼び掛けても
何度も探しても居なかったお前はオレよりも……
「月兎君…?」
胸を強く握り締めて俯いたと気付いた時には遅く
オレは顔を上げられなかった
「平気?何処か痛むの?」
西浦がオレの背に触れながら問い掛けるが今はそれを振り払う力が無かった
夜兎が居た事は嬉しかった
だけど、今までオレが出来なかった事が簡単に西浦が出来た事が何よりも辛かった…
夜兎が望んだのは俺じゃなくて西浦だったんだ……
ならオレの存在は…?
オレが生まれた理由は…?
オレが今此処にいる理由は…?
何でオレは此処にいんだよ…っ
オレはいらないんじゃないかよ……
「月兎君……」
悔しさで歯を食いしばる
その様が山岸には見えたのかオレの身体を抱き締め背中をさすった
「月兎君は此処に居るよ、ずっと僕と居て、僕の側に居てくれてるから…だから僕は今凄く楽しくて嬉しいよ。」
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