夢現

14/19
前へ
/295ページ
次へ
だから逃げないでくれ 諦めないでくれ オレは夜兎だけの物 夜兎の為だけに生きて 夜兎の為だけに存在してる だからオレは…… 「月兎…寝たのか?」 気付けばオレは眠りについていた 少しでも身体を休ませる為に防衛本能が働く だから西浦がオレの髪を撫でたのは知らなかった 切なそうに顔を歪めたのも知らない… いつかこいつを許せる日が来るか解らない 許せない気もする 夜兎がこいつを望むなら 夜兎がこいつを求めるなら オレは夜兎の思うままに 望むままに動くよ…… オレが望むのは夜兎だけだから オレが求めるのは夜兎の幸せだけだから…… 笑ってほしい ただ笑ってほしいだけなんだ 当たり前の生活をさせたい 当たり前の幸せを 当たり前の喜びを 夜兎にやりたいよ…… 「や……と……っ」 眠りについたオレはもう一つ知らない事が有った 「……っ」 無意識に夜兎の名前を呼び掛け 一筋の涙を流していた事を……  
/295ページ

最初のコメントを投稿しよう!

282人が本棚に入れています
本棚に追加