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心の中なのかオレの中の夢なのか解らない
だけどオレは夜兎を捜した
真っ暗闇の中に浮かぶ月に照らされた水が煌めき
優しい光が漂う中オレは湖以外何も無い草原を歩いた
ただ夜兎を求め歩いた
闇の中飛べる筈のない鳥が1羽オレの真横を追い抜く
鳥の羽ばたきで起きた風に髪が揺れ、目を細めた
「夢でも良いさ。」
君と話せるのなら
触れられて、笑ってくれるのなら
「…君は……オレ?」
月を見上げてただ夜兎が笑う姿を思い浮かべていた時
ずっと望んでいた声を耳にした
慌てて振り返りその姿を目に映す
光に照らされ、オレと姿は同じなのにその姿はとても綺麗だった
「夜兎…。」
肩の力が抜けて行くのが解る
ずっと望んでいた姿が目の前に有る
傷も無く、穏やかな瞳がオレを映してくれていた
「月兎…だよね?初めて見れた。」
制服姿の夜兎は、誰よりも幻想的で
何よりも儚かった
「やっと…話せた…。」
夜兎に近付き、怖がらない様にゆっくりと手を伸ばした
夜兎は逃げなかった
だけど手を伸ばしてもくれなかった
「俺の身体が欲しい…?」
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