夢現

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好きだ…そう言おうと口を開こうとした時 強い風が吹き荒れた 咄嗟に目を閉じて耐え、目を開けば夜兎はもう居なかった 伸ばし掛けていた手を握り締めて、顔を歪め 力無く地面に膝を付けた 叶わない想いは言わせてもくれないんだな 「…くそったれ……っ」 誰にかも解らない言葉を紡いで ついに流れ出た涙は、オレの手を濡らしただけだった… 護れなくてごめん 笑わせてやれなくてごめん 支えてやれなくてごめん 何も出来なくてごめん ごめんな……っ ただ一人すらも 自分自身すらも護れないオレには 想いを寄せる事は許されないのか 例え夜兎が誰でも良いから自分を愛してくれる存在を求めて、オレを産み出したとしても…… この気持ちが作り出されたモノだとしても それでもオレは夜兎が好きなのは変わりないんだ きっかけなんて関係ない オレは夜兎を愛してる 誰よりも愛して… 支えて 護って 笑わせてやる 絶対何が有っても 叶えてみせるから… だからもう… 「そんな寂しそうな顔すんなよ…。」  
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