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~Makoto~
月兎が泣いた
夢を見てなのか、風邪が苦しくてなのか解らない
だけど理由がどうであれ強気で負けん気しか無い、そんな月兎が泣いていた
解っていても月兎に言われた“憎い”と言う言葉は何よりもダメージが強かった
俺のは受け入れず、山岸さんの温もりは許すのも辛かったけど…
それ以上に月兎から出された言葉の方が遥かに辛かった
夜兎の姿で、声で、身体で…
まるで夜兎に言われた様に感じたから
月兎に恨まれるのも当たり前だ
俺は休みに来てくれた…
あいつが大切にしていた鳥を叩き落としたんだから
「ごめん…夜兎……。」
ごめん…月兎……。
熱で出た額の汗を手で拭ってやる
髪を梳いて強く目を瞑った
そんな時インターホンが鳴り響いた
山岸さんが下で慌てて対応する為、玄関に向かうのが気配で解る
急な来訪者に俺は何も気に止めず
再び眠っている月兎を見た
辛そうな顔が余計俺を辛くさせる
好きな奴を裏切るなんて、俺は本当に愚かで醜くて、最悪な奴だ
だから俺はお前に何も言わない
気持ちは伝えられない
それでも俺はお前を守るから…
「もう二度と泣かせないからな……夜兎。」
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