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烏と誠は戯れ
俺はそんな誠を見て笑っていた
鳩ならまだしも烏が懐く様なんてないもんな
嘴を触ったり羽を撫でたり
胡座をかいてる足、肩や頭に乗る烏は楽しそうに鳴いていた
『ヤトの友達人間のクセに優しい。』
『友達優しい。』
「誠だ、ま・こ・と。」
「夜兎?」
近寄って来た烏が友達と連呼する
友達なんて名前じゃないと誠の名前を教える
誠は自分が呼ばれたのに烏と向き合っていた俺に呼び掛けた
「誠の事“友達”って呼ぶからさ、誠は誠って名前だって教えてた。」
だから素直に何をしてたか答えれば誠は吹き出した
「友達か、それでも俺は構わないけどな。」
あ…そうか…
言葉が解るのは俺だけ…
「夜兎の友達だって烏達に認めてもらえたって事だろ?光栄だ。」
「…え…。」
そんな風に考えなかった…
いつもこの能力はいらないと思ってばかりだから
いつもこの能力に苦しめられて来たから
煩わしい…
うざったい…
それしかなかったんだ
なのに誠は俺の能力で聞こえた声
言葉を喜んで光栄だとまで言った
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