別格

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オレは困惑する西浦を思い切り突き飛ばし 机ごとひっくり返させた 盛大に鳴り響く音 呆然と見ているしかないクラスの連中 近くには夜兎の心に最後のとどめを刺した 武葉進士の姿も有る 「バァカ…ぶっ…ははははっ!!」 笑いを隠しもしないオレ こんな笑い方を夜兎は知らないだろう 嘲笑う… 夜兎に一番似合わない… そして一番向けられて来た笑いだ 「誰…お前。」 武葉はオレを睨んでいた まるで去勢を張るチワワ… 「一番解ってらっしゃるのでは?」 誰よりも側に居たんだからな… オレは夜兎… 夜兎で夜兎じゃない別の人格 「オレは俺だよ…武葉。」 お前たちが産み出した 人ならざる者 自我を愛し 自我を守る 別の自我 「オレは、橘夜兎の別格。」 夜兎は… オレの最愛は自分を愛して欲しかった ただ誰かに必要とされたかった それが出来ないから 出来なかったから せめて人間らしく 自ら意地汚く 醜く生きていたかった だが扱いは人間以下の意地汚くされ 醜いと罵られ死ねと言われ続けた 人なのに…… 言葉を発せられない動物じゃないのに…  
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