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─帰り道─
ム「つかさぁ~今までゆっきー迎えだから知らなかったけど家同じ方向だったんだな!!」
ゆ「あ?……あぁ。」
退屈な教室を出てもなんだか気分は晴れなかった。ゆっきーは基本無口だから今は俺がしゃべりっぱなしだ。でも隣にいて、友達としてそれが不愉快に思う事はなかった。彼は考えが読めない。気持ちを言葉に出さない。それがなんだか楽しかったんだ。何もかも教えてくれるTVやパソコンよりずっと人間の方が魅力的だと思う。しかもゆっきーみたいな無口な奴はなおさらだ。仲良くなってみなきゃ見れない顔がある。
ゆ「…………っ…」
ム「…ん?どうした?」
考えが読めない事が楽しいんだ。でも怖いんだ。分からないものに恐怖を抱くのは普通だろ?だから俺はゆっきーといるのが楽しくて怖い。いつか彼は俺が考えつかないような事をしそうなんだ。
ゆ「…なぁ」
考えが読めない目が俺をとらえた。…コイツは何故こんなに人を引き付けるんだ。危険で危ない毒の刺激は退屈で死にそうな俺らにはひどく魅力的に見えてしまうんだろう。
ム「……ぇ」
周りの景色も音も何もかもが認識出来なくなる。ゆっきーの後ろから黒ずくめの男が何人も出てきて俺の周りをグルッっと囲った。
─ガッ
ム「……ぁ……ぁ…」
もがく間もなく後頭部を押さえられ薬品の匂いがキツイハンカチを押し付けられる。
ム「…ぴ、……ちゃ」
ゆ「…ハハハ!!」
狂うだなんて酷い言い方だ。俺は狂ってるんじゃねぇ
大事に 大事に
ゆ「壊すんだよ…!!」
助けをもとめるように俺へ伸ばしたムックの手はゆっきーに届かなかった。
ゆ「あの場所に運んどけ。」
さぁさ。
楽しい楽しいゲームの始まりだ!!
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