嫌な予感

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────深夜。  当たりは真っ暗で、夏休み前だと言うのに少し肌寒い。俺は腕をTシャツの中に入れ込む。 「半袖でくるんじゃなかったな」  隣でオバケだぞーっ! と通行人に叫んでいるレイは温度覚が欠落していて何も感じていないみたいだ。  今、儀式屋のドアの前にいる。時刻は零時ジャスト。  さっきとまるで変わっていないドアノブに手をかけた。 「やぁ、時間ピッタリだね。素晴らしいよ」  にこやかなモナさんが目の前に立っていた。恐らく10分くらい前からそこに立っていたのだろう。そういう人だ。 「さて、準備も整ってるし早速儀式部屋へ行こうか」  儀式部屋は言わばお仕事部屋である。大体畳20畳程の広さで、この事務所で一番広い部屋だ。  その部屋には普段何も置いていなく、こういう儀式の直前にモナさんが準備して使う。  儀式部屋までの道のりにたくさんのオカルトグッズが迎えてくれた。瞳が発光している女の絵画や、中には動き回っているアヒルの剥製まである。しかも試験管内蔵だ。  退屈しない。へたな遊園地より面白い。  儀式部屋の前まで来ると、モナさんは静かに振り返り人差し指を立てた。 「レイクンはいつも通りここまでだよ」  モナさんはにこやかに言うが、有無を言わせない何かを発している。  このときもレイは黙って頷いた。 「き、気をつけてよ?」  心配そうに俺の裾を掴むレイに俺はなるべく微笑みかけて頷いた。  そういう顔はやめろ。本当に死んじゃうかもしれん。  モナさんは無言で扉を開き、入っていく。俺もそれに続いた。
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