嫌な予感

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「おや、レイクンはこの匂いはまだダメなのかい?」  モナさんの問いにレイは一度肩を震わせ静かに頷く。俺の裾を強く掴み目線は忙しく移動していた。  まるでどこぞの小動物。それより弱そうだ。 「まあ、嗅覚があることは素晴らしいことだからね。あんまり邪険しちゃいけないよ?」  またしてもレイは静かに頷く。表情は強ばっていて、明らかに無理をしている様子だ。  仕方ねえな。 「今日の仕事はありますか?」  レイがあまりにビビっているので助け舟を出すことにした。  この質問にモナさんは満面の笑みを浮かべ、子供のように目を輝かせる。モナさんのこの表情は大嫌いだ。目を潰したくなる。 「いいねぇ。仕事熱心なのは嫌いじゃないよ。そして、そんなキミに今日はとっておきの依頼がきたよ」  とっておき……ね。  俺が出した助け船は泥船だったらしく、呆気なく沈没していく。  喉には胃液が登ってきて、ヒリヒリと痛みを与えた。  同じくレイの顔も一気に青ざめ、浮遊していた体がフラフラと床に沈んでいっく。  沈むのはいいが生首だけ残すのは止めてもらいたい。なんかキモい。
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