嫌な予感

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 と、そのタイミングでモナさんが戻ってきた。手には丸めた紙が収められている。  瞬間、レイは焦った表情を浮かべながら小躍りを中断した。 「あれ? レイクン、何かの儀式やってたんじゃないの? ボクに構わず続けていいよ」  どうやらレイの小躍りは何かしらの儀式だと認識していたみたいだ。  一方レイは恥ずかしそうに首を横に振り俺の後ろに隠れた。 「そう。まあ、いいや。それじゃ早速依頼内容について説明するよ」  モナさんは床に大きな紙を広げる。この部屋には椅子と中身が飛び出たソファーとオカルトグッズを置くための台しかないため仕方ない結果だ。  俺とレイはその場にしゃがみこみ、紙の内容を見る。  モナさんが持ってきた紙には、よくわからない文字と、星形の模様が書かれていた。  何だこれ?  その奇怪な文字は紙面びっしりに埋まっていて、見ているだけで目眩がする。 「今回の儀式は召喚だよ」  召還? また変なのがきた……。召喚と言ったらやっぱり定番のあれか? 悪魔とか精霊とか。 「今回召喚するのは魔物だよ。と言ってもそこまで危険なやつじゃないから安心していいよ」  魔物を召喚する。と言われて安心するやつがどこにいるのだろうか。いや、いるはずない。いてたまるか。  更に、この人が言う安心は世間では絶体絶命に当てはまる。  俺は不安に押し潰されそうな心臓を強く押さえ、もう一度奇怪な文字が書かれた紙を眺めた。  やっぱり読めねえ。
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