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薄暗い森
ホールを出ればそこは森だった。太陽の光は辺りに鬱蒼と生える木々により見えず、薄暗かった。周りには誰もおらず、あの扉を抜けると適当に場所を移動させられるのか?
考えてみたが特に答えは見付からず、その場に立ち尽くす。ぐるりと再度辺りを見回すも、やはり誰もおらず聞こえるのは俺の呼吸音と規則的に鳴る首輪の音だけだった。
だがふいに、酷く荒い息遣いが背後の方から聞こえた。反射的に振り向けばそこには一人の男が立っていた。…俺に銃口を向けて。
「…っ!」
そしてそれに気付いたと同時に、俺の頬を何かが掠めた。痛みに思わず顔を顰めてようやく俺は銃弾が俺に向かって放たれたと理解した。
「ま、待ってくれ!俺は――」
「うるさい!こ、殺さないといけないんだろう!?だ、だ、だから死ねぇぇえ!」
パン―と乾いた音が森に響いた。
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