猫目の彼

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ぼーんと、古時計が鳴ったときのような感覚に陥る。 その言葉の直後、唇に優しいキスが落とされる。 それから、キスの雨。 体中の至る所に、服の上から、キスを落とす。 鼓膜の奥の、もっと深いところ。 あたしの中で、少しの間響いていた言葉は、吸い込まれるように消えていった。 「っ……」 服の上からの、唇を押し当てられる感覚は、くすぐったくて、焦らされているようで。 「ん…」 いつの間にか、感じていた。 そして、香山くんは私の服を、一枚一枚、ゆっくりと、でもどこか激しく、脱がしていく。 ちゅ…… 何も纏わない私の身体。 その胸元にキスを落とす。 肌に触れる、その柔らかい感覚は、私がずっと求めていたもの。
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