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俺は約束の時間通りにセーン港へ足をはこんだ。
セーン港に行くと2つの巨大な船があった。片方は豪華客船もう一方は今にも沈みそうな、船体が主に木でできた昔の海賊船だ。
そして金持ちであろう人や俺と同じボロボロの服装のホームレスなどたくさんの人がいた。
豪華客船の中からヒゲを腰までたらした老人が出てきた。格好はスーツにピカピカの革靴
ーーあの男と同じだ。俺をここに招待した男と。
ヒゲの老人がしゃべり始めた。
「ようこそ。これからあなた方にはこちらの2つの船で[ケース島]にいっていただきます。ここには約100人の人がいます。豪華客船の定員は90人、海賊船の方は13人です。早い者勝ちですよ。さあ乗りこんでください!」
いっせいに人が豪華客船になだれ込んだ。
俺は少ない方が好きだから海賊船の方にいった。俺の他にも何人か海賊船に乗りこんだ。
海賊船には今12人が乗っている。
ーどうやら13人が揃わないと出航しないようだ
そして数分後に一人来た。豪華客船を諦めたらしい、髪の毛は七三分けで腹はパンパンに膨らみ、服は今にもはちきれそうだ。極めつけは蝶ネクタイ。
ーベタすぎる金持ちだ
俺は思った。
ブォーという音と共に豪華客船と海賊船が出航した。
港には数人だけ取り残されていた。その人達がとぼとぼと家路につくのを見てなんだか笑えてきた俺は口を押さえて我慢した。
ー笑ったのは久しぶりだ。俺は本当に変われるかもしれない。
俺は心が弾んだ。
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