それが日常

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聖也「ただいま」 ??「おかえり。遅かったな」 とりあえず何事もなく、寮の自室に辿り着いた 自室と言っても、ベッドと机、棚があるだけの2人部屋 そして、今、2段ベッドの上から声を掛けてきたのが、ルームメイトで幼馴染みの永瀬 紅(ナガセ コウ) 聖也「んー、ちょっとヤなもん見たからなぁ…」 紅「あぁ、あの餓鬼か。昼頃、飛び出したらしいぞ」 聖也「ふぅん…」 紅はそれだけ言うと、本でも読んでるのか、ベッドの上へ視線を戻してしまった 紅とは孤児院時代からの付き合いで、紅にも“アレ”が見えている まぁ、それがきっかけで仲良くなった様なものだが… 聖也「そう言えば、お前飯は?」 紅「まだ。後で良い…」 聖也「…………」 そして、このやり取りも、何というかお約束だ 俺は荷物を置くと、ベッドの梯子へ足をかける そのまま、手を伸して紅の服の裾を引っ張った 聖也「だめだ。また、飯抜くつもりだろ」 紅「…………」 聖也「図星かよ…」 明後日の方向を向く、紅の手元を見ると分厚い本が広げられていた 紅は本を読み出すと止まらない 酷い時は、朝飯まで抜いて読み続けてしまう程にだ 聖也「ほら、さっさと行くぞ」 紅「あと2ページ」 聖也「次の読点まで」 紅「じゃあ、1ページ」 聖也「分かった…」 紅「…………………」 聖也「……………」 紅「……………」 聖也「………」 ぺらり 紅「……………」 聖也「………って、捲ってんじゃねぇ!!」 紅の持つ、その分厚い本を取り上げたら、抗議の視線を向けてきたが、しっかり栞を挟んでいるあたり、ちゃっかりしてると思う .
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