狂想曲

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「ああ、ユウさん。愛してます」 少女は鎖に繋がれた男に囁く。 恍惚とした、舞い上がった表情で。 男は、何も応えない。黙って少女を見詰めているだけだ。 返事がなくとも、少女は憤らない。 愛おしそうに男に擦り寄り、ベッドに繋がれた左手の薬指を撫でて、額にそっと口付けた。 彼の薬指には、ダイヤモンドの埋まったシルバーの指輪が嵌められている。 それは少女の左手の薬指にも。 それはエンゲージリングに見えた。
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