第一章・互いの印象は

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  二人は国語の授業を終えて食堂で休憩をしていたところだった。 橙真と絵里香の姿はない。 夏の日差しが窓から差し込む室内は、生徒たちの談笑で溢れていた。 「それよりニュース見た!? 水山賢がデキ婚だって」 人の話を聞いていないのか、彼女の話題はポンポンと変わっていく。 ネタに上がったのは、最近ドラマやCMで活躍している俳優だ。 「あいつ絶対シャブ中だよ!! なんかさ、ふにゃ〇ンっぽくない?」 「……ふにゃチ〇言うなよ」 とツッコミを入れながら、忍は周囲からの刺さるような視線を気にせずにはいられなかった。 なんと言うか、彼女の遠慮のない会話は心臓に悪い。 すでに彼女への印象は『最悪』に変わろうとしていた。 「お前さぁ、女らしくないってよく言われるだろ?」 人の事は言えないが、忍はわざと悪態をついた。 女子に女らしくないなんて言うのは初めてだが、さてどう切り返してくるだろうか。 少しだけ意地悪な思いで彼女を見ると、 彼女はふんっと不敵に笑ったのだ。 「そんなの関係ないじゃん。私は私でしょ」 「――――……」 その言葉は、なぜだか妙に自分の胸に残った。  
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