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ヨシヒロが顔を引き攣らせつつ出す指示に二人は体を起こして頷いた。
「あ、それとヨシ兄ぃ。裏の試し切り用の丸太ももう細切れだったぞー」
「ああ、見た見た。マキくらいにまで切り刻まれていたな………丸太の数も増やしておくか」
その後三人は明日の準備に取り掛かった。
それ以降の五日間も三本の矢は怒涛の様な忙しさだった。特によく売れたのは戦闘関連では武器、BP、HP、魔石アイテム(炎、水の二点)の五点、生活雑貨では、食器類、寝具、の二点が特に良く売れていた。そして六日目くらいから少し沈静化し、七日目には一日を通して2,30人くらいになり、それ以降もそのくらいのペースで来客が安定し雑貨屋としては十分繁盛してると言える状態になったのである。
「この半月ほどで町の人にも店の事は知ってもらえたと思うんだ。交換で随分ニュー・フロンティアの素材も集まった(集まった素材は痛む物も有った為、ヨシヒロの手の掌倉庫に収納されている)しね」
店を開店して十二日が経った頃、夕飯の後に三人は話し合っていた。
「そうですねー客として来た傭兵達の話しでは、BPは森に入る際には必需品になりつつあるそうですよ。回復魔術は主にキズや怪我の回復、回復薬は主に体力の回復しか出来ません。BPに関してはその両方がある程度まかなえますから傭兵や冒険家にとっては便利なのでしょう。武器に関しても鉄の武器では三本の矢の物がダントツで切れ味が良いって言われ出してるそうですからね」
「そういうふうに言われるとやっぱり嬉しいよなー。でもこのペースで売れると、最低でも三ヶ月一度くらいは仕入れに行かなくちゃいけなくなりそうだな。パンが無くなったら小麦粉や大麦粉があるから作れば済むけど、それも無くなったら仕入れに行くしかないかし」
「それはそうですね。その時は私達も護衛としてお供しますから」
ラミアスの言葉にラオムも大きく頷いている。
「う~ん………いや、仕入れは俺一人で行くよ。二人にはお店を開けていて欲しいんだ。せっかくお客さんが付いてきたのに、一月以上も閉める事はしたくないからね」
ヨシヒロの言う内容が解らない訳でもない二人は、不満を顕わにし不服そうにしながらも黙っていた。
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