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川角 朱乃は、ひたすら冷静にと思いながらも、考え込んでいた。
西暦 2005年 3月9日 夜中。
朱乃は、京の町を当てもなく歩いていた。
その時だ。
一陣の風が、 朱乃が被っていた帽子を賀茂川へと落としたのだ。帽子を取ろうとして、 朱乃は、一条戻り橋から川へ落ちた。
―そこまでは良い。そこまでは。バカだと思うが、誰にでもありえることだ。―
かばんを掴んだとたん、何かに足首をつかまれ、水の中に引きずり込まれたのだ。
もがいてどうにか水面に浮かび上がった。
川からようやく這い出て、岸へと足を進めた。
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