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「アンタさ…」
まったく気付いてなかったの?ってちょっと驚いたようにナナが目を見開いて俺を見た。
なに…なになに?
俺(また)知らない間に、ナナかメンバー相手に何かやらかしたんだろうかって気持ち焦ってくるんだけど思い出せなくて、一人慌てていたら。
「もう、みんな帰ったよ」
残ってるのは俺と合羽さんだけ
「ほら、みんなの荷物ない…でしょ?」
「…あー……」
諭すような優しいトーンのナナの声に徐々に落ち着いてきて。
辺りを見渡してようやく状況を飲み込めた。
「あーあ。やっぱりさ、俺たち気ぃ使われてるねよね」
苦笑してナナが俺の肩に小さな頭を乗せてきた。
香水に混じったナナの匂いにクラクラする。
「そう…かもね」
素直じゃない俺たちに素直になれよって後押しなんだろうか。
今度会ったら皆にお礼を言わなくちゃって思っていたら。
「今から俺ん宅…くるでしょ?」
不意に俺の手の上からナナの手が包んでて。ギュッと力が込められた。
それだけの事なのに、心臓の音が速く強くなるのが分かった。
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