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茶色いビー玉のような瞳が俺の瞳を追っかけて捕らえて離さない。
ナナはユラリと見える欲情の色を隠しもしない。
可愛い顔の癖に恐ろしい程の艶を含んでてオトコマエ過ぎて嫌になっちゃう。
もっともっと近くで。
俺を見て欲しいと…
思ってるくせに。
「……いーよ、ナナがどうしてもっていうならさ」
震える声で精一杯の強がりだって伝わっちゃうのに。
「行ってやるよ」
空威張りしてみせると。
「んはっ。アンタのそういうトコ、」
堪らないわって
ナナが今日イチ楽しそうに笑い転げた。
勢いのまま店を手を繋いだまま飛び出して、タクシーを拾ってナナの家を目指す。
少し手前のコンビニ前で降りて、食べ物とデザートコーナーでケーキを調達した。
コンビニを出ると、湿気を含んだ空気が肌に絡み付くようだった。
無言で二人会話なく足早に歩いて帰った。
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