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「やっと邪魔がなくなった」
ドアが後ろで閉まる事がするのと同時に、ナナの声が重なって。
気付いたら、俺はナナの腕の中にいた。
「俺らってどんだけ臆病なんだろね」
ナナが苦笑混じりに呟いた。
「そう…だよね」
俺も力なく笑った。
数秒だって一緒にいたいくせに。
引き寄せる腕の強さが嬉しいって思ってるのに。
呆れるくらい臆病者同士で笑っちゃう。
ナナの表情まで読みとれないけれど、俺と同じ気持ちなら嬉しいなと。
勝手だけれど、そうであればよいと思った。
「イチ…誕生日、おめでとう」
腕に持っていた荷物をもどかしく床に落とすと、ナナの頬を両手で包んで自分からキスをした。
もう一回、もう一回と。
少なくなった時間を取り戻すかのように。
角度を変えて何度も繰り返してキスしていると、ナナの腕が俺の後頭部を捉えていて。
「真幸、プレゼント貰うな」
今度はナナからキスされた。
答える代わりに、俺はナナに身を委ねた。
来年こそ、
最初からずっといようと。
飛びかけた理性の狭間で心に誓った。
~END
脳内変換希望したり
しなかったり<m(__)m>
遅くなりましたが
おめでとうって事で💦
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