似たもの

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ウツラウツラと 自らを落ち着かせて、眠りについた頃、 ガチャリ… 誰かが入ってくる。 「……ノ」 遠慮がちに俺の名前を呼ぶ声に浮上する意識。 少し鼻の掛かった特徴ある声。 目を開けなくたって認識できる。 どんな顔で覗いてるのも……ね。 声のトーンで解っちゃうくらい思い描いたあいつだもの。 ニヤツキそうになる顔を制御してポーカーフェイス決めちゃって。 すぐにでも飛び付きたいのを無理して我慢して。 もっと… もっと近距離に寄ってくるのを待っている。 獲物の射程距離。 捕らわれるのも知らず、無防備にベッドに手を掛けてスプリングがキシリと音がした。 顔に息が掛かるほど近くに顔が寄った時、 相手の腕を掴んだ。 驚きの声。 笑っちゃうくらい、目を見開いて俺を見上げている。 あー。 掴んだ腕の細さに舌打ちしそう。 ……。 自分の事は棚上げで。 .
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