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緊張が抜けたのとピッチが早かったのも手伝って急速に酔いが廻ってきた。
フラフラな身体を壁に預けて部屋全体を見渡すと、俺とナナと二人だけになっていた。
「合羽さん、大丈夫?」
顔めっちゃ赤いよ?
俺と目があったナナが立ち上がり、隣に座って顔を覗き込んできた。
「ナナも…ね」
顔、真っ赤だよ。
歩いた足取りちょっと危なかったかもって突っ込み返して、ふふっと笑った。
ナナも釣られて笑った。
触れるか触れないかの微妙な距離なのに近くに感じるナナの体温で身体の熱が集まるようにジワリ上がるのが自分で分かった。
あ…。
今、ここで
チューしたいって。
思ったり…。
なんかしたり、しなかったり…やっぱりしたり?
でも…やっぱり外じゃ無理って。
ヨコシマな気持を誤魔化すように、
「みんな遅いねっ」
近くにあったほとんど水に近い液体が入ったグラスをグイっと開けた。
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