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彼が出張へ行って
1週間がたとうとしている。
そろそろ帰ってくるだろう
そう考えながら届いたばかりの新聞を開く。
熱い入れたての甘いミルクティーを口に含みながらつけっぱなしだったテレビを見る。
着飾った女が朝から間抜けなニュースを真剣に読んでいる。
娼婦の私は世の中の裏を知っている。
重大な事件は金と権力で
揉み消される。
それに抗い真実を知れば"消される"だけ
だから世の中の馬鹿は張りぼての平和を信じて疑わない。
それでもきっと真実は
誰かが気づくように、そっと……
───ピンポーン
「はぁーい。」
開けたドアの先には彼が立っていた。
「あら、早かったのね。」
「予定より早く終わったんだ。最初に君に逢いたくて…」
彼へのミルクティーを入れて戻る
話始める彼は仕事が上手くいったことを子供の様にミルクティーも飲まずに無邪気な笑顔で話す。
退屈な訳じゃない、なのに…
あぁ、なぜか眠くなってきた。
抵抗がまるで効かない。
それは、まるでミルクティーに…
「ねぇ、ハ…リー……?」
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