馬鹿者の悟空

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「俺……。」 どうしたら良いのか分からなくなり、 「しょーがねぇから、連れてってやるよ。」 三蔵は手を差し伸べ、無理矢理にでも優しくだが強く握りしめ、出られる事が無いと思っていた岩牢を出た…。 「俺…っ。」 少しだけ涙が溢れた。 「お前…名前は?」 三蔵は掴んだ手を引いて荒れた道を下り始めた。 「……っ、ご…。」 「ご?」 曖昧な発音が三蔵を苛立たせた。 「名前もロクに言えねぇのか?」 「悟空…。」 名前に聞き覚えがあった。 「悟空か、」 悟空はおどおどとしながら三蔵に聞いた。 「お前は?」 「玄奘三蔵。」 長々と名前を聞くと名前を理解するために、 「げんじょぅうさんぞうぅ?」 あまりに理解出来ていない発音にまた驚いた。 「三蔵で良い。」
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