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「…!…め、かごめ!」
「!!」
いきなり聞こえた大声に、びくりと体が跳ねる。
「やっと起きたか」
溜め息混じりに言う彼へと視線を向ける。
長い銀髪に、赤い衣に身を包まれた琥珀色の瞳を持つ彼。
「犬夜叉…」
少女は、彼――犬夜叉を見上げ呟く。
犬夜叉は、普通の人ではなく、普通の妖怪でもない。
人間の母親と、妖怪の父親をもつ半妖。それを証拠に、彼の頭には妖怪のでも人間のでもない、犬耳が付いている。
父親は犬夜叉が生まれてすぐに亡くなり、母親もまた犬夜叉の幼い頃に亡くなったため、彼は父親の顔だけ知らない。
「…?かごめ、どうした?」
彼女―かごめは犬夜叉の言葉にはっとし、慌てて首を横に振る。
「ううん、何でもないよ」
「?」
かごめはこの時代、『戦国時代』の人間ではない。『四魂の玉』の争いに巻き込まれ、この時代へ来た。
四魂の玉は願いを叶えるとの言い伝えがあり、それを狙う数々の妖怪がいた。
しかし四魂の玉はある事をきっかけに砕け、四方へ飛び散ってしまう。
その欠片を集める為旅をしたのだが、それはまた別の話。
現在では四魂の玉は消え、争いもなくなった。
かごめは自分の世界とこちらの世界、どちらかを選ばなければならなかったが、彼女はこちらの世界…と言うより、犬夜叉のいるこの世界を選んだ。
かごめは幼い頃から強い霊力を持っていた為、今ではこの村で巫女をしている。
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