第一話

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「あ~た、食べるよ」 薫の心配そうな表情を見たら 食べない、だなんて 言えなかった 私は薫から飴を受け取り 昨日の事が夢であるようにと祈りながら 口の中へと入れた 「…………──!!ッ」 飴が舌の上に乗り その甘さが舌に広がった途端 私の身体に異変が起きた 息は乱れていき 顔は湯から今上がったように赤く火照り 身体の中の何かが変わっていくような感覚 「ら、らん?!…大丈夫?」 薫が慌て私に近寄り 顔を覗きながら そう言ってきた 「へ、いき…ちょっと、保健室で休めば大丈夫…」 ここで男の子に変わるなんて 絶対に嫌だ そんな気持ちからか 私を立ち上がらせ 保健室まで歩ける事は出来た 薫には先生に 適当に誤魔化すように 言ってあるし 教室の方はなんとかなる… けど… これから問題 いつ男の子から女の子に 変わるか分からないし もしかしたら もう戻れないかもしれない 保健室には幸い 先生も居なくて 今はなんとかなってるけど いつ戻って来るかわからない ずっと保健室にいるのは 無理そうな訳で… 「とにかく…薫にメールして、早退する事を先生に伝えて貰おう!」 とポケットに手を入れるが… 入っていなかった… 「あ、有り得ない…!?…今朝慌てて出てきたからどっかに置いたままにしてあるのかも~!」
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