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「爽眞様が帰ったぜぇ!!」
大声を張り上げながらギルドの馬鹿でかい扉を開ける。
「そ、爽眞ぁ、目立ってるよぉ」
ぴったりと爽眞にくっついて離れない憂眞が、涙目でそう言った。
が、爽眞が聞くはずもなくひたすら突き進んでいく。
「ボス!只今帰りました!」
入口の扉より二回りほど、大きな扉を勢いよくあけて報告をする。
座っているのは、三十代前半位の男。
「あぁ、お疲れさま。
急だが明日から学園に通ってもらう」
いきなりすぎる言葉。
開口一番ならぬ開口二番で言うことではない。
なんの段階も踏まずに言われ固まる二人。
「憂眞君もなんだが……一緒じゃないのかい?」
「ボス、オレの隣です」
意外そうにいうボスに少し表情をひきつらせながら言う。
そう。ボスでさえも気づかなかったのだ。
影が薄すぎて。
涙目になる憂眞に、爽眞は励ます様に頭を撫でてあげた。
この後にボスが何度も謝ったのは言うまでもない。
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