一話―学園への入学?!―

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「で、なんでいきなり入学なんですか?」 二人係で憂眞を慰めたあと、爽眞が尋ねた。 急な話でも、爽眞は至って冷静だった。 「何でも、敵組織が動きだしているらしくてな……学園を狙っているみたいなんだ」 「なるほど。で、オレ達には学園を守ってほしいんだな?」 「あぁ、現[うつつ]家も動きだしている」 現家と言うのは有名な騎士団を従える貴族。 「了解」 一対一で進んでいく話し合いを、憂眞はただひたすらに聞いていた。 ―――――― 「爽眞…家、どうするの?」 「とりあえず………ここ」 「………え?」 話をし、爽眞の指差す方向にあるもの、それは ――廃病院だった。 恐怖で顔を真っ青にする憂眞をみて爽眞は苦笑した。 爽眞も悪気はない。 が、お金がなかった。 二人はまだ十四で、まともな仕事ができないため家はおろか、食事もまともに取れなかった。 幸いにも所属組織から学費は出されるが、そうでなければ学校など夢のまた夢だった。
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