第一里 我、血を嫌うものなり……

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第一里 「王!お待ちください!お考え直しください!」 王宮の謁見の間で王とその神官がもめあっていた。 「くどい!もう、決めた事だ。」 「しかし、あの者は信用できません!どうか、お考え直しを………」 「崔珀は深く考えすぎだ。あの者は、我やこの国の民を思うてくれる優しき者ぞ。」 あの者……それは、この両班、彷徨(ほうこう)の后になる女性だ。 城下町での評判はなかなか良いそうだ。 しかし、崔珀は気に入らなかった。 「しかし王、彼女は信用できません……」 崔珀は、目線を落としながら言った。 「どうした崔珀、お前らしくない。玲鳴(れいめい)の時はあんなに大喜びしたのに、何故櫂藍ではいかんのだ?」 玲鳴……それは、彷徨の后きなる筈だった女性だ。 しかし、彼女は数年前にその姿を消した。 そして、翌年彼女が現れたのだ。 .
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