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「あの者の微笑みが胡散臭いからです。もしや、玲鳴殿の行方不明に関わっているやもしれません。」
「そんなわけなかろう…彼女は玲鳴の事は、何も知らないと言っていたのを崔珀も聞いたであろう。」
「しかし……」
「もう、この話は終わりだ。よいな、崔珀。」
彷徨は崔珀に下がるよう合図をした。
「……かしこまりました……」
崔珀は、一礼し下がった。
(やはり、納得いかん……)
崔珀は心の中で、呟いた。
「これは、崔珀神官。」
不意に話しかけられ、崔珀は前を向いた。
「櫂藍…殿…」
崔珀の目の前に居る人物……黒く長い髪を綺麗な数本の簪で結い、髪と同じ色の瞳を此方に向け微笑んでいる人物こそが、櫂藍。
「王とのお話は、お済みになったのですか?」
「ええ…櫂藍殿は何用で?」
崔珀は心の中で悪態をつきながら聞いた。
「今後の事でお話がありまして……」
「そうですか……では、私は、仕事が有りますので……」
崔珀は、一礼をしその場を去った。
「……いけ好かない神官だな……あいつも始末するか。」
櫂藍は不敵な笑みをし、その場を後にした。
影を残して……
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