第一里 我、血を嫌うものなり……

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★ 「では、陛下また来ますので。」 櫂藍は、綺麗な笑みで謁見の間を後にした。 「櫂藍は、悪い様には見えないんだが……やはり崔珀の勘違いか……」 櫂藍が去ったあと彷徨は一人呟いた。 コツコツ…… 誰も居ない廊下で櫂藍の足音だけが響く。 「……始末はしたか?」コツ…… 櫂藍は、ふと立ち止まり誰に言うまでもなく呟いた。 『………』 「ふん……相変わらず無口だな。まぁ、それがお前のいい所なのだがな。」 櫂藍は、柱の陰から現れた黒付く目を者に言った。 全身を黒のフードで覆っているため、男か女は判別しがたい。 「私の邪魔をする者は、誰とて許さん……例えアメンオサでも……」 櫂藍は、邪悪に満ちた笑みを浮かべた。 「來神(らいか)お前は、私の言うことだけを聞いていればいい。分かったな?」 『……(コクリ)』 櫂藍の言葉に來神は頷いた。 「それでいい……私の可愛い人形……」 コツコツ… 櫂藍は、そう言いその場を去った。 『………』 來神もまた闇へ消えて行った。 .
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