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ある日、水泳界に衝撃が走った。
それは大手水着メーカー「エース社」が「高速水着」の開発に成功し、そしてその水着が実用化する事を公に公表したからである。
だが高速水着と言っても、実際は、過去に様々な会社が自社の誇りをかけ、技術や経験の下、その年での「高速水着」は確かに世の中に存在していた。
──しかし
今回のエース社のこの高速水着、これはあまりにも他を圧倒していた。
世界中のスイマーがこの水着を着用した結果、世の中の平均タイムがあまりにも簡単に上がってしまったのだ。
地方から全国、そして世界の舞台で、ありとあらゆる大会新記録が当たり前のように更新され、過去の栄光は一瞬にしてこの世から消え去ってしまった。
虚しくも「水着があれば速くなれる」という概念が証明されるようになってしまったのだ。
勿論、当初は他の水着と比べてかなり高価なため、当然一部の人しか買えなかった。
しかし今では他社の水着の開発も成功したために、価格競争が価格を安くし、誰でも手に入る値段となった。
──水着が選手のタイムを左右する
そんな時代の幕開けが始まろうとしていた。
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