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「彰……なにとったんだ?」
オレは彰に問いかける。
「いつも通りだよ……とりあえず2、3日は持つだろう……」
呼吸が乱れているがそれでも普通に応えてくれた。
「とりあえず場所変えようぜ……」
「そうだな……」
オレと彰は車に入る。
車は軽のワゴン車、いわゆるケッパコというやつだ。
オレは運転席に座り差しっぱなしだった鍵を回し車のエンジンをかける。生き物が唸るようなエンジンの音が聞こえるのを確認し助手席の彰に声をかける
「よし……行くか」
車が動き出す。
ここからは一刻も早く逃げ出したい。
見慣れた町は既に廃墟と化している。
人が住むことを忘れた町は死人がさまよう地獄だ。
「おい、そろそろ暗くなるんじゃないか?」
彰が横から話しかけてくる。
「そうだな、時計を確認してくれないか?」
オレがそう言うと彰は座席を倒しワゴン車の後部座席へと移動した。
後部座席と言っても後ろの座席は全部倒されていて、携帯用のガスコンロ、食料、 ラジオ、トライシーバーなど。
生活に必要なものから食料調達に必要なものまでいろいろ用意されている。
そこに時計もある。
「もう4時だぞ……」
4時か。
さっきまで明るかったのに。
「じゃあいつものとこ行くか」
オレは見慣れた道路でハンドルを切った。
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