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オレ達が向かったのは市役所。
ここが本当の拠点。
表口は自動ドアだが電気がないから使えないしオレ達が中からバリケードをつくってあるからゾンビどもは入れない。
しかし裏口は鍵があれば入れる。
鍵は少し前に市役所で働いていた元人間のゾンビが落としたものをオレ達が使っているていうわけだ。
ワゴン車を裏口の近くまで近付ける。
いつも通り車の中からゾンビがいないか確認する。
「そっちは大丈夫か?」
オレは小さめの声で彰に聞いた。
「おう、行くか」
彰の声を合図にオレはリュックサックを背負い、車のドアを開けた。
市役所のまわりは閑散としていて異常なくらい静かだった。
いや、よく考えれば賑わいとか、そんな言葉はしばらく使ってない気がする。
車に鍵をかけ、グロックを握りしめた。
ゆっくりとまわりを確認しながら裏口の前に立つ。
「よし、鍵開けるぞ」
ドアノブの真ん中にある鍵穴に鍵を差し込み回転させた。
それとほぼ同時に軽快な音をたて、鍵が開く。
「入ろう……」
ゆっくりとドアを開け、オレと彰は中に入る。
中は薄暗い。
ゾンビが湧いてからというもの電気というものはほとんどなく車やチェーンソー、草刈り機といったガソリン機器が使われている。
市役所を拠点にする理由はまあまああるがなんといっても各課ごとにシャッターがあり、バリケードをつくりやすいといのが一番の利点だ。
「よし、行こうか」
周囲の安全を確認し、俺達は入り口から近い税務課のもとへ急ぐ。
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