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助かった。声に出せなくてもSOSのサインは送れた。
それでもただ一人苦しむ美玖を助けては―――
『汝、……コラ!! オンボケェエ!!』
「ひゃあ!?」
救いの手の変わりに罵声が届けられた。
そして反射的に縮こまっていた体がバネの作用のように飛び起きる。するとどうだろう、さきほどまであれほど美玖を苦しめていた苦痛が嘘のように消え去っていた。
美玖は思わず自分の両手を見、そのまま自分の体を触りながら確かめる。……五体満足。問題は無いようだ。
『聞いトンのかこのボケナス!!』
息つく暇もなくもう一度罵声。美玖は、声の主を確認しようと辺りを見回す。
そのときに初めて気がついた。さっきまで自分がいた日常が非日常に切り替わったことに。
冬の気配がちらつく大通り、街路樹として埋められたイチョウの木、舞い落ちるはずの古びた黄色の葉が空中で静止し動かない。だがその葉も少しおかしく、まるで抜け落ちたかのように色を失っている。イチョウの葉だけじゃない、向かいに見えるビルも、地面も空も全てが色を失ったモノクロの世界そこには美玖以外誰もいなく、ただ一人残された孤独に救いの手の変わりに罵声が届けられた。
そして反射的に縮こまっていた体がバネの作用のように飛び起きる。するとどうだろう、さきほどまであれほど美玖を苦しめていた苦痛が嘘のように消え去っていた。
美玖は思わず自分の両手を見、そのまま自分の体を触りながら確かめる。……五体満足。問題は無いようだ。
『聞いトンのかこのボケナス!!』
息つく暇もなくもう一度罵声。美玖は、声の主を確認しようと辺りを見回す。
そのときに初めて気がついた。さっきまで自分がいた日常が非日常に切り替わったことに。
冬の気配がちらつく大通り、街路樹として埋められたイチョウの木、舞い落ちるはずの古びた黄色の葉が空中で静止し動かない。だがその葉も少しおかしく、まるで抜け落ちたかのように色を失っている。イチョウの葉だけじゃない、向かいに見えるビルも、地面も空も全てが色を失ったモノクロの世界そこには美玖以外誰もいなく、ただ一人残された孤独な世界だった。
「何、どうなっているの……?」
気が動転する美玖、誰も居なければ助けても貰えない。そして理解できない今の現状。美玖の理解できるキャパシティを超えている。
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