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――生き抜いて見せろ
美玖の頭の中でリフレインする先の言葉。ならば聞きたい。どうやって? 新藤美玖はただの高校生、あの言葉から今自分は生きるか死ぬかに立たされている。
美玖をぐるりと囲む黒い人型たちは美玖の命を奪うためにいるのだろうか。ただ明確に分かる、美玖を睨みつけるような冷たい視線。全身の悪寒。痺れて動かない体。あぁ、これが殺気ってやつなんだろうなと、客観的に感じ取る。
全てを諦めきってしまった美玖に、現実は刻一刻と変わり行く。完全に美玖を囲んだ黒い人型たちの内、美玖の目の前に揺らめく人型が腕をゆっくりと振り上げる。
するとどうだろう。今までぼやけていたように映る腕の輪郭が密度を増し、黒く鋭くとがっていく。
「………助けて」
か細い声に反応したのか、振り上げられた黒い腕が美玖に迫る。そしてそれが、美玖に―――、
「っつ!!」
自分を貫くであろう死の衝撃に引きずる声と縮めた体で耐える。目を固く瞑り、痛くない、痛くないと呪文をかけながら。
……だがそれは何時になっても美玖を襲わず、体が震えて生を訴える。少しだけ余裕の出来た思考が美玖の意思に反して数を数え始める。
1,2,3,4とそれでも美玖は怪我を負ってない。いなくなったのだろうか? 奇跡が起きた? 怯えながらも目を開けて見れば視界に入るのははためく黒。
それはぼやけた炎の様ではなく、布が風邪に煽られている様子だった。
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