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「うぅ、一体どうしたの?」
「ん~? なんかまりにゃんが落ち込んでたから元気を分けてあげようと思って」
「いらないよ……。というか『まりにゃん』って止めて」
「いいじゃん別に。というかいつも可愛いねぇ、まりにゃんは!」
抱きつかれたまま頬擦りをされる。
もはや友達というよりも愛玩動物みたいな扱いだ。
「あっ、そうだった。今度の連休にユリちゃんとミナミさんとで遊びに行こうと思ってるんだけど。まりにゃんどう?」
「とりあえずこの頬擦り地獄を止めて」
む~ケチ~、と言いながら楓はしぶしぶ離れた。
「で、どうなの連休は?」
「えっ。えっと、ゴメン……。予定があるの」
「え~、残念」
「本当にゴメンね」
申し訳なさそうに鞠奈は手を合わせる。
不満顔だった楓もすぐに態度を変えて世間話を始める。
鞠奈は急いでいたのだが、押しの弱い性格ゆえに話してしまった。
そして一人の生徒が食堂から出てきた。
鞠奈達は入り口近くに立っていたのでその生徒は迂回してすぐ横を通る。
その時、『聞こえた』。
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