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「引っ越し!?」 土曜日の朝、母から聞かされた話は唐突なものだった。 内容は、隣……つまり彼女の家が引っ越すということ。 おまけに今日がその日だと言う。 彼女の希望で、俺や学校のみんなには内緒だったらしい。 考えるよりも先に体が動いた。 家から飛び出すと、すぐ近くにトラックが停まっていて、数人の男性がダンボールを抱えてトラックと彼女の家を往復していた。 ほとんどの荷物はトラックの中。 作業の終了が近いことを物語っていた。 どうして気付かなかったんだろうか。 早く隣の家に行きたいのに、不思議と体が動かなかった。 忙しそうに動く彼らの邪魔になるからと感じていたからかもしれない。 そうしている内に、作業が終わった。 動き出すトラック。 その後に続いて、彼女の父親、母親。そして、彼女が出てくる。 俺に気付いた3人はこちらに向かって歩き出し、親2人は俺に微笑みかけると、彼女を残して俺の家のインターホンを押す。 親同士で話があるんだろう。 でも、俺達は無言だった。  
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