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車も見えなくなり、俺は呆然としながら自分の部屋に戻った。
彼女がいなくなったというのが信じられなかったが、考えれば考えるほど、それが現実だと思い知らされた。
大切なものが無くなったような感覚。
胸の奥から何かが込み上げてきた。
そして、俺は泣いた。
自然に沸き起こってくる感情が、幼い俺には止められなかった。
Tシャツの袖がぐしょぐしょになった後、昔お土産でもらったチョコレートの缶の中に手紙を入れる。
――これ、負けたときにあけるんだよ。
そう言った彼女の言葉を思い出しながら、缶のフタを閉め、そっと押し入れの中に入れておいた。
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