永遠の君

2/2
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
晴れ晴れとした空の下 紅魔館から少し離れたある丘には ~Sakya-Izayoi~ と、書かれた小さな墓標があった そしてその前には 日傘をさした小さな吸血鬼が立っていた 『今日も来たわよ、こんにちは・・・咲夜』 ふと其処に居るはずのない人に問い掛けた ・・・もちろん返事は返ってこない あたりに吹く風が草花を揺らして カサカサ カサカサ ・・・音を立てるだけだった 人の寿命は短すぎて 妖怪の寿命は長すぎた その事は貴女が死ぬ前からわかっていた 自分よりも早く死んでしまう人 悲しい死が訪れることは 自分が生きているうちに来るのは【必然】だった でも・・・ いつもすぐ傍にいて 何かあれば相談に乗ってくれて 従者のくせに主を叱る 最高の親友であり、最愛の人 そんな彼女との別れは呑み込めなかった 諦め切れない思いに 憤怒して、絶望して、放心した 荒れた心を落ち着けるのに何日もかかった そして自分の気持ちが落ち着いて全てを呑み込んだ日から 時間が空けばいつも此処に来ている そしていつも同じ花を一輪 墓標に備えては帰る レミリアは花を添え、手を合わせ拝んだ そして静かに心の中で祈り、咲夜に言う 『{Rest In Peace(安らかに眠れ)}』と 『・・・またね、咲夜』 今日もいつもと同じように花を添えて帰っていく 奇抜な花の名前は【麦藁菊】 花言葉は【永遠】
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!