高田林

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「窓際から侵入されたら困るから、トラバサミを仕掛けておいたのよ」 かほりの口許に歪んだ笑みが浮かぶ。 鋲のついた金属輪の中心を踏むと、強力バネが作動し、輪が半分に折り畳まれて獲物を仕留めるのがトラバサミだった。 折ったような金属輪が、所長の左足に噛みついている。 鋲状の輪が、ブーツごと足を貫いていた。 とても痛そうだ。 下手すれば骨までいってるかもしれない。 「ま、こんなのに頼らないと勝てないわよね」 「ケンカにルールなんてないんでしょ? 食らっても意識を向けなかったのは誉めたげる。じゃあね」 かほりは満面の笑みを浮かべると、広間を後にした。
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