684人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃ、頼んだわよ」
所長はそう言うと、落ち葉を踏みしめながら林の方へと向かった。
動きやすそうな黒い上下のスウェットを着てる割には、ゴツい革のブーツで足元を固めている。
こんなに余裕を感じられない所長を見るのは、初めてかもしれない。
それだけ必死なんだろう。
私もしっかりしなければ。
私が正面玄関から車の故障を装って訪ね、所長が二階裏のバルコニーから飛び込む手筈になっている。
私は携帯の電源を切った。
仁から連絡がないのが心配だったけど、ロードサービスを呼ぶために電話を借りるふりをしないといけない。
最初のコメントを投稿しよう!