高田林

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「じゃ、頼んだわよ」 所長はそう言うと、落ち葉を踏みしめながら林の方へと向かった。 動きやすそうな黒い上下のスウェットを着てる割には、ゴツい革のブーツで足元を固めている。 こんなに余裕を感じられない所長を見るのは、初めてかもしれない。 それだけ必死なんだろう。 私もしっかりしなければ。 私が正面玄関から車の故障を装って訪ね、所長が二階裏のバルコニーから飛び込む手筈になっている。 私は携帯の電源を切った。 仁から連絡がないのが心配だったけど、ロードサービスを呼ぶために電話を借りるふりをしないといけない。
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