シュラアパ

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僕が此処に入るのは初めての事だが、神官とバラモンに会ったことなら何度かある。 今、僕の周り、そして目の前で彼らは、その何度かと同じ目で僕を見ていた。 「なんの知らせもなく顔を出すとはどういうことかね、クシャトリヤ殿」 「火急の用事ですので」 「ふん。しかもそのようなイシュアパまで連れて。このような神聖な場にふさわしくないとは思わなかったのか?」 お父さんの手が強く握られたのを見て、少しの不安がよぎる。 イシュアパとは災いの事だ。 悪しきもの、災いを呼ぶもの、幸福を追い去るものといった、良くないものを総じてイシュアパと言う。 もちろん、僕がこう呼ばれるのには僕の頭が関係している。 「……用事にこれも関係しています。それから、これをイシュアパなどと呼ぶのはやめて頂きたい」 お父さんが押し殺したような声で言う。
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